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流星号放送局

音泉オフィシャルショップ音mart - DJCD「流星号放送局」www.otomart.jp

内容もわからないまま、得体の良く知れないものに、どうにも魅かれてしまうことがあります。

このCDには母体として「鉄ラジ」があるわけですが、習慣としてラジオに耳を傾けない身としては、なかなかに悩ましいものがありました。

アニメ本編の外にあるものを、どう受け取ればいいのかな。しかも、ツイッターでこの情報を知った時点では、内容はこれから収録するらしい。

せめてジャケットの写真を見た後であれば、一目見てほしくなっちゃったと割り切れます。あるのはただタイトルのみ。そして、声優さんの名前がふたつ。

ああ、でも、これはとても面白そうだ。

テレビアニメや連載中のまんがの続きを楽しみに待つことの延長のように、内心「フラウロスの裏設定でもでるのかな」ぐらいの気持ちで、音マートさんのサイトで通販の申し込みを終えました。

視聴後の恍惚感

声優さんの熱いトークでフラウロスの裏設定なんてものがふいに飛び出してくる、なんてことはありませんでしたが、このCDからは本編その他で泣かされた分と同じか、それ以上の笑顔を受け取りました。 素敵な企画をこんなに早くファンの手元に届けてくださって、本当にありがとうございます。

人の手で作られていくモノを愛するということ

このCDは手元に届いてすぐに携帯機器へ取り込んでしまいましたので、時間を見つけては繰り返し聞き続けております。

声優さん同士の仲の良さや相性もあると思いますが、何回聞いても楽しそうです。話しているのは二人なのに、様々な笑い声のバリエーションを軽やかに楽しませていただいております。

楽しそうに笑い合って、楽しそうに内容を組み上げていく。

モノを作り上げていく工程で何がしかの完成度を高めるために求められるものって何だろう。当然、工程管理は大切です。その上でさらに見た目が流麗であること。話の観点が面白いこと。作り手の感情が込められていること。受け取る側の感情が揺り動かされること。

流星号放送局は (作中のネタかもしれませんが) IFでもスピンオフでも別の何かでも構わないという願望を軸にして、どうにかして続きを迎えることはできないのかな、という狙いを定めている着地点があります。

このCDの発表と公開の後でもし何か続くものが作られるのだとしたら、私はそれが出来上がった姿には、たくさんの人の楽しそうな笑い声が添えられているといいなあと思いました。

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以前拝見した高松信司監督のツイートを3つ引用させていただきます。

引用ここまで。

月刊ガンダムエース2017年6月号の感想

鉄血のオルフェンズ最終回特集号ということで、巻頭カラーで長井龍雪監督のスペシャルインタビューが掲載されています。 こちらのインタビューで取り上げられていることのなかではマクギリス・ファリドのことが一番好きなので、自分なりの言葉をどこかに残しておきたくなりました。

ツイッターで呟くには少々かさばるけれども、ブログに書き残すほどの事ではないのかもしれません。 それでもどこかに自分の気持ちを置いておきたくなったので、後先をあまり気にせずに何度も誌面を読み返しております。

インタビューの導入部分は、これまで鉄ラジでぽろぽろと語り落されてきた文字をたどる作業です。 監督自身の感想文のような、あるいはどことなく反省文のような、独特のリズムで進みます。

積み重ねられてきたガンダム史のなかでこの物語をどのように取り扱えばいいのか、テーマは何かと考えることをとても困難にしている原因は多々ありますが、命を懸けて戦い続けても、その結果は勝ちも負けもなく、命の向こう側で向き合うはずの善や悪や、敵さえも形を与えられない世界で、虐げられてきた子供たちがどう生きるのか、又はどう死んでいくのかという視点で見てみると、今回のインタビューに価値を感じられるかもしれません。

アニメ放映分では触れられていませんが、モンターク商会はマクギリスが私財管理のために作り上げた会社で、マクギリス没後はトド・ミルコネンがそのすべてを預かっているそうです。 とても印象深い記述です。この部分はインタビュアーからの設問ではなくて、長井監督の方から会話を広げて繋いでくださったところなので、もっと字数を増やして誌面をほぐしてほしかったです。

親を亡くし、あるいは捨てられ、様々な虐待を受けながらも、ただひとつのアグニカ・カイエルの伝説を信じ、夢を追いながら生き延びた少年マクギリス・モンターク

何も持っていなかった、あるいは持っていたかもしれない掛け替えのない大切なものを世の中の悪意に奪われ続けたマクギリスですが、ふと気がつけばギャラルホルンで信用や地位や部下を得て、いつの間にか管理が必要なほどの私財を成していたことはとても大きいです。 作中では強く大きな権力を求めた彼ですから、もしかしたら結構頑張ってお金を貯めたのかもしれません。 幼少期からの虐待の象徴のような義父の元から離れて、ほっと息を抜ける場所を見つけ、莫大な私財を成し、社会的な信用もある。でも、違う。

ガンダム・バエル。

どんなに底辺から這い上がったとしても、どうしても満たされない思いがある。 子供の頃の自分が信じたただ一つの存在。弱さに打ちひしがれながらも救いを求めてただひたすらに心の底からすがったもの。

過酷な虐待を耐え、生き延び続けて、その先でどんなに真っ当な光が差しても、マクギリスがバエルにこだわり続けた理由には、どのような意味があるのでしょう。 インタビューではその動機的構造をモビルアーマーと対峙した三日月の戦いぶりへの感動、アグニカ・カイエルという理想の投影ゆえに「やっぱり俺もバエルほしい!」と語られています。

やっぱり、の部分が要なのですが、残念ながら本編同様、インタビューでもその部分は語られておりません。 というわけで、ここからがインタビューを読んだ感想になります。

代償行動

マクギリスのキャラクター描写として頻繁にちょっとした贈り物を手渡すシーンが描かれているのですが、なぜマクギリスがプレゼントを渡すことが好きなのかを、個人的な解釈で考えてみます。

何一つ満たされない幼少期を過ごしたマクギリスですが、まるでその反動のようにプレゼントを手渡す姿はある種コミカルでもあり、何かの伏線のようでいて、本編では特に回収もされていません。 マクギリスはまた同時に、誰からも他意のない「お返し」を受け取ることがありません。 アルミリアから紅茶を淹れてもらっていましたが、これは本当に例外で、だからこそアルミリアのことを愛していたんじゃないかと思うぐらいに、ほんとうにこれぐらいしかありません。

虐待を生き延びても、社会的に認められても、私財を成しても、そんなちょっとしたやりとりでさえ、マクギリスには与えらることはありませんでした。 この部分は三日月がクーデリアやオルガに火星ヤシを押し付けるところと対比が際立っていて、個人的には好きな描写なのですが、どうしてマグギリスにはこういった描写が欠落しているのか、今回のインタビューを読んで腑に落ちたんですけれど、マクギリスが本当にプレゼントを贈りたかったのは子供の頃の自分自身だったんだなあと、そんな気持ちになりました。

虐待と、そこから生き延びるという強い意志。 その原動力になり得るのはただ一つ、いつか絶対に救われてみせるという強い怒りしかありません。

生き延びることを望み、選んだ出発点に、いつまでも虐げられていた幼い頃の自分がいます。

その目が5年後、10年後の自分を見据えています。社会的な地位を得て、重圧の家を離れ、お金もあって、カルタやガエリオという友人に囲まれた自分をずっと見続けています。 その目がモビルアーマーを見ています。ガンダム・バルバトスに乗って戦う三日月・オーガスを見ています。その傍らで手も足も出ず、脅威に圧倒されて動けない大人の自分を見ています。

その目があるからこその、「やっぱり」「俺も」「バエルがほしい」であり、虐待に耐えながらも生き延びる意思を持ち、なんとしても自分で自分を救うんだと涙をぬぐって歯を食いしばって耐えた幼き日のマクギリス・モンタークの ──本当に贈り物を届けたかった相手への、遅くなって済まないという気持ちのような── 偽りのない気持ちでしょう。

インタビューを読み終わって

おるふぇんちゅと鉄血のコミカライズ、そして伊藤悠先生の鉄華団クリアファイル欲しさで重たい雑誌を手に取りましたが、今このタイミングで長井監督のインタビューを読めたことは良かったと思っております。

掲載誌には他のガンダムのまんががたくさん掲載されていておりますが、これはどう受け取ればいいのかなと、以前気になって権利関係の事を検索したことがあるのですが、そこで冒頭のツイートを目にすることになりました。

ガンダムってアニメの監督さんをやっても、なんていうのか監督さんのモノにはならなくて、権利は別の場所にあるんですね。 もしかしたら次に出会う鉄血さんは、違う方の手で作られるのかもしれません。 そうではないかもしれません。

今の時点では特に願うことは正直ありません。 ただ、どうして長井監督がこんなにも強く鉄華団の壊滅、あるいは全滅にこだわったのかずっと不思議だったんですけど、失礼ながら上記の監督契約のことがあるからかなあ、などと邪推しております。

最後にとてもひどい言い方になってしまうんですけど、これはもう残念ですけど殺さなければ自分のものにはならない的な切実な感じを覚えました。

それならそれで、ある種のわかりやすさが生まれてきます。 具体的に言うと続編が出て成長したキャラクターが誰かとどうにかなったりして的な案件の回避といいますか、昔某作品でそういうとても困難なことがあったので、アッって叫んで記憶を葬り去っていたことを思い出して思わず膝を打ったしして、それでちょっとなんかもう、この読後感が心の置き場に困るのです。

この作品に出合えてよかったとはなかなかスパッと言い切れない面が多すぎて、めちゃくちゃ好きなんだけれども、とても人にはすすめにくいです。 たくさん泣いている人を見ました。 それでもやっぱり毎週日曜日に全50話をテレビの前で追い続けたこと、見逃し配信で何回も見返して好きなところを書き散らかしたことを肯定しています。 鉄血のオルフェンズが大好きです。

(個人的な感想です。誤字・脱字等、ご容赦ください)

追記 | トド・ミルコネンとの邂逅

マクギリスとトドの出会いは、一期 #5 「赤い空の向こう」のラストシーンです。 トドはオルクス商会に自分の仲間を売りますが、ひょんなことからそのことが鉄華団に露見して、逆に窮地へ追い込まれます。

ガンダムトーリー 全セリフ まとめ」さん (ttp://gundamserifu.blog.fc2.com/blog-entry-167.html) より一部を引用

ビスケット:「囲まれてる!」

パイロット:「モビルスーツから有線通信!クーデリア・藍那・バーンスタインの身柄を引き渡せとか言ってますけどぉ~!?」

クーデリア:「・・・!」

トド:「さささ、差し出せ!そうすりゃ、俺たちの命までは取らねぇだろう!!」

ユージン:「てめぇは黙ってろ!」

トド:「他に助かる手があるってのかよお!?」

ユージン:「ぐっ、それは・・・」

シノ:「どーすんだ?オルガ!」

アトラ:「えっと・・・」

クーデリア:「私を差し出してください!」

オルガ:「それは無しだ」

クーデリア:「・・・!?ですが・・・!」

オルガ:「俺らの筋が通らねぇ」

トド:「バカか?!状況を考え・・・!」

シノ:「うるせえ!」

トド:「・・・!」

引用ここまで

この後トドはシャトルの狭い操縦席で暴れて、怒ったシノに殴られます。 交戦中はオルガの命令でおそらく倉庫に隔離されて、最後はカプセルに入れられてギャラルホルンへ送られます。

このときのトドはシマパン一丁で顔には青タン、極め付けに腹部へ荒っぽくメッセージを添えられるというとてもコミカルな状態でマクギリスの前に連れて行かれます。

その姿を見たマクギリスは大変気持ちよく大笑いをするという一期でも印象に残るシーンなのですが、最終話まで見た後で思い返すと、これがマクギリスに送られたプレゼントのようでもあり、ある種の引き金になったのかもしれません。

マクギリスがそれまで生きてきた世界は、失敗、裏切り、敗北などが暴力的な死を意味する世界です。 圧倒的に高い社会的地位の義父は長く自分を虐げ続ける張本人です。 ギャラルホルンの監査局で働いて得たものは、世の中に蔓延するありとあらゆる腐敗、癒着、そして貧困と虐待の再生産です。 社交的に笑うことは可能ですが、基本的にどこにいても辛いことが普通でした。

出世や仕事で失敗する。義父を裏切る。政局で敗北する。 その先で「生きている」という選択肢はありません。

でも鉄華団は違いました。仕事に失敗しても、仲間や組織を裏切っても、その張本人の命を奪わずに、とびっきりの笑える要素を盛り付けてマクギリスの元に送ります。

マクギリスにとってトドは新しいひとつの価値観をもたらしたのではないでしょうか。 それは、鉄華団から届けられた (この時点では中身の分からない) 贈り物です。

結果としてマクギリスはその後トドを重宝し、右腕だと名乗らせ、私財の管理の一切を託します。トド個人にマクギリスの個人資産を運用するような才能があったのか、なかったのか、それは残念ながら今回のインタビューでは完全に取りこぼされており、とても残念な気持ちです。 個人的にはマクギリスはトド・ミルコネンという鉄華団との最初の繋がり、あるいは贈り物を捨てることがなかったのだと解釈しました。

チンクアンテージモ。

2015-2017 私的鉄血控帳。一期~二期リアタイ、及びその後の感想。